こちらの記事
一度は公開したものの思うところあって削除しようとしました。
でも書いた内容に嘘があるわけでもなく
なかったことにするのも違うと思い
プライベート用として保管していたものです。

今回「大丈夫!実家は片づけられます」の発売にあたり
再度公開することにしました。

よかったら1年前の私の感情を覗いてみてください。


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20代前半で妻となり母となり
30代前半で妻をやめシングルマザーとなり
40代後半で娘は社会人となり
私は1人暮らしが始まりました。

そして50代を目前にした私は、
心地よく暮らすということに加えて
始末のしやすさを意識するように。

子育て中は娘の成長に合わせてモノが増え
それらを管理するためのスペースも増え
使いやすさを重視した収納術を楽しみました。

でも子育てを終えると少しずつ持ち物は減り、
連動して管理することも
収納を工夫する必要も減りました。

何も持たずにこの世に生まれてきて
歳を重ねるごとに荷物は増えたけど、
これからは私がどんな時間の過ごし方を
したいのかによって持ち物は精査され、
人生の終わりに向けて少しずつ
身軽になっていくんだろうなぁ、と思うように。

「あれもしたい、これもしたい」と
散漫していた欲は、
「これに時間とパワーを注ぎたい」に
変わってきました。

それに加えて実家の片づけをしたことで
持ち物に対する思いはさらに変化。

私が整理収納の仕事をしていることもあり、
母は生前から
「自分では捨てる判断はできないけど
 あなたならばっさり処分できるだろうから」
ということを言っていたし、
もちろん私もそのつもりでした。
でも実際には難しかった…。

趣味が多彩で凝り性なものだから
必要な道具はとことん集める性分。
それに伴っておつきあいも多く
やりとりの経過が分かるようなものも
たくさんあります。

また字を書くことが大好きで、
遺されたきれいな文字を見ていると
そのひとつひとつが
母の生きた証のように思えてくる。

不要と思われるものを処分し、
引き取ってくださった方々のおかげで
部屋から圧迫感がなくなり、
余白ができたこともあって
今は少し穏やかな気持ちで
実家の片づけに向き合えているけど、
それでも脳裏の片隅にあるのは
責任転嫁という言葉。

どのような背景で持つことになったかはどうあれ

「使わないのに捨てられない、
 好きじゃないのに手放せない」

という愛情を注がれていないであろうモノたちも
 選んで買った…けどいらなくなった
 いただいた…けど好みじゃない
 引き受けた…けど使い道がない
という母の判断があって持つこととなったもの。

全くの他人が通りすがりに
家の中に放り込んでいくなんてことは
ないはずなんですよね。

そうして母の判断で手にしたモノたちの、
その先は母自身に決めてほしかった。

迷って放置するということは、
その迷いを母以外の誰かに転嫁するということ。

委ねざるを得ない日はくる。
それらに対しての感情は
所有している本人よりも他者の方が薄く、
気持ち的には処分しやすいかもしれない。

だとしても
放置していた”モノ”や”想い”の処分に、
本来なら私自身のしたいことへ費やせるはずの
お金と時間とパワーを消耗することになるということ。

遺されたモノを見ていると、
愛情を注がれて活かされていたか、
またそうでないかは伝わってきます。

多すぎるものを遺した母の部屋でもそれは明らか。

どんなに趣味が多くても、
それらに必要なたくさんのモノを持っていても
かまわなかった。

せめて愛情を注いだもの、
母の暮らしが満たされるモノだけにしておいてくれたら、
私の遺品整理に向かう気持ちは全く違っていたと思います。

最近お片づけに伺ったお客様が
世代や子育てを終えた状況が似ていることもあり
そんな話を聞いてもらったところ
「いずれその日が来て
 息子に後始末をしてもらうことになると思ったら
 今のうちに処分しておくべきモノがたくさんある!」
と言ってくださいました。

遺されたものはあしあと。
どんな人生だったのかを窺い知ることができます。

私はどんな状況でどんな思いで
最期を迎えるのか知ることはできないけれど
『立つ鳥跡を濁さず』
祖母のように、引き際は潔く跡形は美しく、
そんな最期でありたいと思っています。

最近読んでいる本の中の一文。

『はじめから全体像を知っておくこと
 生死は一事 ただ一度の短い出来事』

目の前のモノだけに向き合ってしまうと
迷うことも多くあります。

だけど人生という全体像が頭の隅にあると
手元に置いておくべきかそうでないか
少しだけ判断がしやすくなる気がします。
人の一生を短い出来事というのなら、
せめてその時間くらい、
余分な執着は手放して快適に過ごしたい。
とはいってもまだまだ課題はあるけれど…。

文章にしてしまうと
ネガティブ感満載になってしまいました。
でも今は母に感謝しかありません。
これも私の本音。
あまりの暑さで実家の片づけはSTOPしているけれど、
手を動かした成果もあって
今は母が愛したものばかりになりました。
涼しくなったらまた始めよう。
手伝ってくれる友人達のおかげもあって
今からワクワクしています。

2018年8月12日 21:10 記


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